2024.10.102024年の不正の状況をナビゲート:SiftとMRCのデータとインサイト

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本記事は、Sift Science, Inc.のBlog記事「https://sift.com/blog/navigating-the-2024-fraud-landscape-data-insights-from-sift-and-mrc」を日本語に翻訳したものです。

本記事の著作権は、Sift Science, Inc.および同社の国内パートナーである株式会社スクデットに帰属します。

Sift Trust and Safety Team 著/ 2024年4月19日

Siftチームは最近、決済および不正防止業界で最も影響力のあるイベントのひとつである Merchant Risk Council (MRC) Vegasに出展・登壇しました。このカンファレンスで、Siftは Incodeと共同イベントを開催し、SiftのTrust and Safety Architectである Brittany Allen氏と AppleのFraud Managerである Paul Brock氏による 「Fraud 201 Workshop」を開催しました。また、イベント中に2024年第1四半期のDigital Trust & Safety Indexレポートも発表しました。このレポートは、最新の決済不正データ、消費者のインサイト、新たなトレンドについて深く掘り下げたものです。

この記事では、MRC Vegasの会場で得られた知見、MRC 2024 Global Payments and Fraud Report、およびSiftグローバルデータネットワークから、2024年に事業者が知るべき主な不正のトレンドを紹介します。

消費者行動の変化が不正の状況に与える影響

消費者の行動が進化するにつれ、不正の手口も進化しています。MRCによると、事業者の6割以上が、過去1年間で「ファーストパーティ不正(当事者による不正利用)」が増加したと報告しています。この増加は、ECの売上増加、インフレの上昇、インターネット上で広がる「不正サービスツール(fraud-as-a-service)」の普及によるものです。

Siftのデータもこの調査結果を裏付けており、特にZ世代のような若者が、加害者としても被害者としても、不正行為に最も近い存在であることが明らかになっています。Siftの調査では、Z 世代の 42%が、自分が行った取引について虚偽の異議申し立てを行う「ファーストパーティ不正」に関与したことを認めています。さらに、Z 世代は決済不正に個人的に関与、あるいは不正を行った人を知っている可能性が最も高く、またオンラインで不正行為に参加するよう勧誘される機会も最も多い世代です。一方で、Z世代はデジタルウォレットの導入が急速に進んでおり、ブランドに対する忠誠心が低く、顧客体験に対する高い期待を持っています。これは、事業者にとって複雑な環境を生み出します。

MRCの調査は、事業者がこうした不正行為をより適切に対処するために、注力すべきポイントも示しています。事業者の半数以上が購入および支払い時に不正行為を監視している一方で、返金リクエスト要求や異議申し立てなどの購入前や購入後の段階では監視していないことがほとんどです。このことから、事業者がカスタマージャーニー全体においてソリューションを導入し、不正行為をできるだけ効果的に阻止し、収益を最大化する必要性が浮き彫りになっています。

AIを活用しAIによる不正と戦う

不正犯はAIを活用して不正手法を洗練させ、より成功率の高い巧妙な攻撃を仕掛けるようになっています。ある調査によると、98%の回答者が、AIを利用した不正攻撃が過去2年間に自社が遭遇した不正のレベルに大きく影響を与えていると回答しています。また、AIの脅威への不安から、消費者がオンラインショッピングの頻度を減らしていることも分かりました。Siftの調査では、調査対象となった消費者の30%が、人工知能がもたらすサイバーセキュリティの脅威を理由に、オンラインショッピングを以前より控えるようになっています。

AIは、AIによる不正行為やその他の不正行為との戦いにおいて、ゲームチェンジャーとなっており、事業者はAIを不可欠なツールとして捉えるようになっています。MRCによると、事業者は平均1~2つのAI/MLベースの不正検知ツールやアプリケーションを使用しており、これらの高度なソリューションの利用は今年さらに増加する見込みです。また、55%の事業者が、今後1年間の不正行為管理における最も改善が必要な領域として「AI/MLの精度の向上」を挙げています。

「今年のMRCで繰り返し聞かれたキーワードはAIでした。AIは不正犯がいち早く取り入れたツールであり、まだその技術の活用を模索していない企業は、AIによって悪用されるリスクにさらされています。今こそ、企業はAIに社内投資すべき時です。AIは、AI自体がもたらす脅威に対抗できる唯一のテクノロジーなのです」と、SiftのTrust and Safety部門のVPであるKevin Lee氏は述べています。

リスクと収益の最適化

MRCによると、45%の事業者が顧客体験の向上を最も重要な不正管理の優先事項と見なしており、これは 2023年から25%増加しており、現在では不正行為やチャージバックの削減と同じ割合になっています。これは、事業者が不正防止をビジネス成長の手段として重視していることを意味しています。事業者が顧客に優しいオンライン体験を提供し、スムーズで安全な取引を確保するためには、適切なツールとソリューションを活用して最適なバランスを見つけることが重要です。これらの重要な優先事項を両立させるに、事業者はデータに基づくインサイトを活用して、業務を守りながら顧客満足度を高める必要があります。

Siftで最高クラスの不正ベンチマークを達成

MRCは、決済不正の傾向に関する貴重な基準データを提供しており、企業が直面する課題について幅広い見解を示しています。しかし、SiftのFraud Industry Benchmarking Resource (FIBR) から取得した独自データでは、業界および地域別に不正行為に関するより詳細な内訳が提供されています。

MRCデータと当社の調査結果を比較すると、不正行為発生率に顕著な差があることが分かります。Siftの顧客は、一貫して業界平均を下回る不正行為発生率を達成していますが、これはSiftの長年にわたるAI技術の蓄積と10年以上にわたる不正判断の専門知識の成果によるものです。当社のブロック率をはじめとする不正指標は、MRCの調査結果を上回っており、当社のソリューションの有効性を浮き彫りにしています。たとえば、2024年第1四半期の最新データによると、Siftグローバルデータネットワーク全体での決済不正ブロック率の平均は2.7%で、MRCが報告した、5.8%の不正行為による平均注文拒否率よりも53%低くなっています。つまり、Siftが信頼できる顧客の取引を誤って拒否することなく、より正確に不正行為を検出して防止できることを意味します。

また、MRCによると、マニュアルレビューに関しては、事業者はおよそ2対1の比率で、約25%の注文を手動で、50% の注文をデジタルで確認しているとしています。これを、Sift の現在の平均手動審査率1.7%と比較すると、企業が不正運用を完全に自動化し効率化する大きな余地があることがわかります。

不正防止の専門知識をさらに深めたい場合は、MRCによる自己学習型の不正に関する主要業績評価指標 (KPI) コースをご覧ください。この中級レベルのプログラムでは、チャージバック率や誤検知などの重要な不正KPIを管理するためのツールを習得できます。

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