ホームセンター事業を主として行なうDCMホールディングスの100%子会社で、家電製品を中心とした総合ECサイト「XPRICE」を運営する株式会社エクスプライス。今回、不正検知ソリューション「Sift」を導入し、不正利用の大幅減と運用改善を実現した秘訣をお伺いしました。
エクスプライス株式会社
取締役 営業本部長
大西 剛氏
導入前の課題
- 月20件以上、100万円超の不正利用が発生
- 目視チェックによる不正判定に限界を感じていた
- 取引件数の増加に伴い、不正判定に伴う業務も急増
不正検知ソリューション「Sift」の導入効果
- 不正取引は90%減少、クレジットカードのオーソリ承認率も導入前の68%から85%に上昇
- Siftの機械学習モデルによるリスク判定により、高品質で均一化された不正判定を実現
- 不正判定に要する時間は導入前の約2時間/日から、約10分/日に短縮
売上高・取引量の拡大に伴い、月間100万円超の不正利用が発生。
運営メンバーの業務も圧迫
―エクスプライスにおけるSift導入前の不正発生状況、不正対策についてお聞かせください。
当社は、家電製品を中心とした総合EC「XPRICE」を運営しており、自社サイトのほか、楽天、ヤフー、Amazonや各種ECショッピングモールに出店しています。カメラやパソコン、時計など、不正者に狙われやすい高額商品も数多く取り扱っています。
Sift導入前の不正対策は、すべての注文伝票を目視でチェックしていました。2021年11月に3-Dセキュアを導入しましたが、それでも不正利用は月間20件前後、金額にして百数十万円程度発生していたのです。チャージバックは発生していませんでしたが、この規模の不正利用は看過できず、どうにかして削減しようと対策を模索し始めました。
以前は見ただけで不正注文と明らかに分かる内容だったのですが、次第に手口が巧妙になり、一般の注文との見分けがつきにくくなってきました。長年、目視で不正判別していた従業員は巧妙化した手口に対して対応できるものの、経験の浅い従業員は見逃してしまうこともあり、どうしても不正が発生してしまいます。
売上高が上がり、取引件数が大幅に増加していたこともあり、全件を目視でチェックするのは運用上もかなり大変でした。そこで2022年の中頃から、不正検知サービスの導入検討を本格的に始めたのです。
性能や仕様、費用やサポート体制など、5つの評価ポイントからSiftを選定
―不正検知サービスの選定にあたり、重視したポイントはどんなものでしたか。
Siftを評価したポイントは、5つありました。
1つ目は、AIで精度の高い不正判定ができることです。それまでは、従業員が目視で不正判定していたため、担当者にはノウハウが蓄積されますが、担当が変わると判定精度が下がってしまう属人性の課題がありました。
Siftはユーザーがサイトを訪れてから購入を完了するまでの一連のビヘイビア(振る舞い)情報に加え、位置情報、デバイス情報などのユーザー情報など、大量のデータを自動的に収集、特定のパターンを見つけ出しリスク評価に活用します。また、機械学習モデルがユーザーの見分け方を自動学習するため、不正傾向の変化にも即時に対応します。AI型不正検知サービスの中でも初期に登場し、検知精度の高さや多くの実績を持つことから、人に頼らず、高精度な判定ができると考えました。
2つ目は、人が判断する領域を残しておける点です。1つ目の評価ポイントと矛盾するようですが、お客様の正しい取引を誤って弾いてしまうことは、絶対にあってはなりません。Siftは、システム判定しきれない、いわゆるミドルリスクの取引については保留にしておいてくれます。最終的に人が判断できる点が大きな評価ポイントでした。
そうはいっても目視チェックの件数は減らす必要があります。AIの機械学習モデルが学習することによって目視件数を最小化し、目視チェックに係る工数も大幅に削減できると期待できました。これが3つ目のポイントでした。
4つ目は、利用料が従量課金の単価固定で、適正価格だったため、コストパフォーマンスが良いと考えました。5つ目は、スクデットが不正対策支援の業歴が長く、不正傾向や不正対策に関してノウハウがあり、信頼できたことです。しっかりサポートしてくれそうだと思いました。
しっかり情報を取得する適切な導入が、不正検知の向上に繋がる
―導入はスムーズに進んだのでしょうか。
サービスの選定が済んだら、開発、導入のフェーズに入ります。スクデットの担当者からは、全ページにJavaScriptを埋め込んだり、複数のAPI連携がある等、手間がかかることを聞いていましたが、様々なデータを取得・収集することが、不正検知精度の向上に繋がると説明を受けていました。
当社では2023年5月からSift導入の準備を始め、途中1カ月弱の機械学習モデルの学習期間を経て、8月から本格稼働を開始しました。短い期間でスムーズに導入ができたと思っています。
システム開発の工数はそれなりにありましたが、仕様の説明から、導入設計の支援、開発中の問い合わせ対応まで、スクデットがしっかりサポートしてくれたため、問題はありませんでした。また、学習期間には目視チェックをスクデットが一緒に行ってくれました。
目視チェックの対応時間が1日10分に大幅減。
独自ルールの追加・併用で検知精度をさらに向上
―運用が開始し、実際に使われてみていかがだったでしょうか。
Siftが一律にリスク判定を行い、ミドルリスクの取引が発生しても、事前に定義した基準に従って目視チェックを行うため、どの従業員でも同じクオリティで判定を行えるようになりました。モデルの学習期間に、スクデットが目視チェックのポイントを詳しくレクチャーしてくれたことが役に立っています。
その結果、目視チェックに要する時間が、導入前の約2時間/日から、約10分/日に短縮されました。また、目視チェックの際は、今まで自社で取得できていなかった、ユーザーのデバイス情報やサイト内の行動などの情報が、Siftの管理画面で確認できます。
Siftは機械学習モデルのスコアに加えて、独自の基準をルールとして設定できるため、不正の傾向や商品の特性を踏まえてルールを追加し、更にオペレーション負荷の削減を図ることが可能です。当社では過去の実績を踏まえ、特定の条件に当てはまる場合不正ではないというルールを後から追加しました。ルールの設計や実装は、すべてスクデットが対応してくれるため、当社の負担はありませんでした。
Siftや不正に関しての疑問が生じたとき、スクデットに問い合わせると大抵すぐに回答してくれます。また定期的に施策提案やレポートを提供してくれるため、安心して運用することができます。スクデットからは、どんなに短くても目視チェックのひと手間をかけていることや、オペレーション体制を構築し不正対策に取り組んでいることが、不正検知の成果につながっているとフィードバックを受けています。
Siftの導入以降、不正被害は9割減。
オーソリ承認率も上昇し売上増にも貢献。
―どのような導入成果がありましたか。
本格稼働後の2023年8月から約7カ月を経て、2024年3月時点で確定している不正利用は4件、14万円のみです。導入前に毎月発生していた被害額、百数十万円と比較すると、90%以上の減少です。また、不正利用が抑止されたことで、クレジットカードのオーソリ承認率が如実に上がり、2023年6月の68%から、12月には85%まで上昇しました。つまり、不正件数・金額が減少しただけでなく、売上向上も実現しているのです。
エクスプライスでは、2024年3月現在、Siftのリスク判定に基づき、高リスクの取引のみ、EMV 3-Dセキュアに通し、低リスクの取引は通さないという取り組みを準備しています。本取り組みにより、EMV 3-Dセキュアのフェーズで約11%発生している離脱、つまりカゴ落ちを最小化し、更なる売上拡大に繋げたいと考えています。
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エクスプライス株式会社
事業内容 Eコマース事業
プライベートブランド事業
法人向け事業Sift導入サービス XPRICE本店
サービスサイト
公開日:2024年10月30日