2025.01.06統合リスク管理ガイド

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本記事は、Sift Science, Inc.のBlog記事「A Guide to Integrated Risk Management」を日本語に翻訳したものです。

本記事の著作権は、Sift Science, Inc.および同社の国内パートナーである株式会社スクデットに帰属します。


Sift Trust and Safety Team著/ 2024年6月13日

統合リスク管理ガイド

デジタルリスクは、組織全体に脅威を与える存在です。従来のサイロ化されたリスク管理アプローチでは、このような複雑な課題に十分対応できません。

本ガイドでは、統合リスク管理(IRM: Integrated Risk Management)が組織内のサイロを解消し、リスク特定から、評価、軽減までの責任を共有する文化をどのように促進するかを解説します。

統合リスク管理とは

統合リスク管理(IRM)は、組織のリスク管理を統合・調整し、リスクを包括的に把握するための戦略的アプローチです。IRMは、従来のリスク管理の基本原則をさらに進化させ、ビジネス目標と連動させることで、組織にとって最も重要な資産を優先的に保護します。

なぜ統合リスク管理が重要なのか

統合型リスク管理(IRM)は、最悪の事態に備えるための具体的な計画を提供します。リスクと潜在的な利益を深く理解することで、意思決定プロセスを的確に導き、よりバランスの取れた、情報に基づく判断が可能になります。

ここでは、IRMが不測の事態に際しどのように組織を支えるか、具体例を紹介します。

  • 最悪の事態に備える

最悪のシナリオは頻繁には発生しないかもしれませんが、その影響を軽減する計画があれば、緊急時にも冷静な判断が可能になります。

  • コスト削減

IRMによって、企業の運営状況が完全に可視化されるため、効率が向上し、コストが削減されます。

  • データの改善

データのサイロを減らし、意思決定を容易にします。

  • リソースの優先順位付け

リソースを適切な場所に優先的に配分できます。

IRMの導入方法:6つの基本ステップ

リスクに対する根本的に異なるアプローチを導入するのは、一朝一夕にできるものではありません。以下の6つのステップを参考にしてください。

  1. リスク文化の確立
    IRMを成功させるには、潜在的なリスクをより明確にするための文化的な変革が必要です。経営陣の支援を得て、リスクを優先事項として扱うトップダウンのアプローチが不可欠です。また、すべての従業員がリスクを認識し報告・軽減できるよう、必要な知識を提供する意識向上トレーニングを実施しましょう。
  2. リスクの特定
    組織のポリシー変更、戦略の転換、新技術の導入などに伴うリスクを特定し、管理戦略に組み込む必要があります。リスクの発生源、種類、要因に分解して分析し、過去のデータやトレンドからリスクパターンを明らかにすることで、問題が発生する前に先手を打ちます。
  3. リスクの評価
    特定されたリスクの影響度や発生可能性を評価・分析します。財務的影響だけでなく、非財務的な要素や関連資産の重要性も考慮し、リスクの優先順位を決定します。リスクスコアリングを活用して、各リスクに値を割り当て、重要度を明確化します。
  4. リスクの軽減
    リスク軽減のための戦略を策定し、具体的な対応策を実行します。この段階では、管理策を導入し、組織が許容可能なリスクの範囲を明確に定めます。その目的は、インシデント発生時に従業員が迅速かつ適切に対応できるよう、具体的な行動計画を用意することです。
  5. リスクのモニタリング
     デジタル環境は常に進化しているため、リスクも絶えず変化します。継続的なリアルタイムモニタリングを行い、リスク管理プロセスやポリシーを最新の状態に保つことが重要です。
  6. テクノロジーの統合
     IRMの実践には、技術の活用が欠かせません。例えば、SiftのAIを活用した不正検知プラットフォームは、手作業によるトランザクション確認を自動化し、効率を大幅に向上させます。Siftはまた、データ統合やリスク管理プロセスの合理化、意思決定支援の強化にも貢献します。

IRMのメリット

統合リスク管理(IRM)を導入することで、組織は複雑なリスク環境をより効果的に乗り越え、戦略的な目標を達成するための多くの利点を得られます。

IRMの統合的なアプローチにより、以下のことが可能になります。

  • リスクの全体像の把握

リスク全体を包括的に捉えることで、さまざまなリスクがどのように相互に関連し、影響を与え合うかを理解できます。これにより、リスクを調和的に管理できる、より効果的な戦略の構築が可能になります。

  • 目標との整合性を高める

リスクに個別対応するのではなく、組織の戦略目標に合致する形でリスクを特定・管理することで、目標達成に向けた一貫性を保つことができます。

  • 意思決定の改善

包括的で信頼性の高いデータがなければ、経営陣は効果的な意思決定を行うことができません。また、サイロ化されたリスク管理では、特定の脅威が見落とされる可能性が高まります。IRMは、すべてのリスクを統一的に管理することで、経営者が最適な意思決定を行うために必要な情報を提供します。

  • コストの削減

幅広いリスクを特定し軽減することで、組織はリスクを収益機会に変えることができます。適切に管理されないリスクから生じる法的問題や業務停止といった高額なコストを伴う事態を回避することが可能です。

IRMの活用事例

IRMは、すでにさまざまな業界の企業を支援しており、ほぼすべての業界に適用可能です。以下は具体的な活用事例です。

iGaming

iGaming業界は、複数アカウントの不正利用や規制上の課題など、複雑なリスク環境を抱えています。プラットフォームの不正利用は、不正者に不当な優位性を与え、プレイヤーの信頼を損なう恐れがあります。IRMはこれらすべてのリスクを包括的に検討し、それを軽減するための解決策を実施します。

*iGaming:オンラインカジノ等、オンライン上で賭けが行えるゲームを指す

旅行 + 交通

旅行や交通業界では、オンラインソリューションによって驚異的な成長が実現していますが、それに伴うリスクも増大しています。これらの脅威に対処するためには、統合リスク管理フレームワークを導入し、テクノロジーの力を活用して不正行為を阻止し、アカウント作成プロセスを保護する必要があります。

フード + デリバリー

フードデリバリー業界では、モバイル注文、セルフサービスソリューション、オンラインプロモーションが急速に普及しています。これらの新しいサービスは、決済不正やアカウント乗っ取りなど、さまざまなリスクにさらされやすい状況です。この業界の組織は、統合リスク管理を活用して、ユーザージャーニー全体にわたるリスクを軽減する必要があります。

Eコマース

Eコマース分野は絶えず進化しており、代替決済手段やオンラインショッピングエコシステムの拡大を通じて、多様な成長を遂げています。しかし、決済不正からチャージバックまで、さまざまなリスクも増加しています。IRMを活用することで、企業はこれらのリスクを効果的に軽減し、テクノロジーを活用して管理プロセスを合理化することが可能になります。

Siftが提供する統合リスク管理支援

多くの企業では、リスク管理が分断的に行われがちです。たとえば、ある企業は財務リスク管理のプロセスを強化している一方で、アカウント作成やアカウント乗っ取りに関するリスクを見過ごしている場合があります。また、別の企業では、リスク管理をコンプライアンス活動だけに限定し、規制要件の順守に注力する一方で、より広範な戦略目標を考慮していないことがあります。

統合リスク管理(IRM)は、これらのサイロ化されたリスク管理のアプローチとは異なり、組織全体とユーザージャーニーのすべてにまたがるリスクを考慮した戦略を構築します。この包括的なアプローチが、従来のリスク管理手法との差別化を生み出しています。

Siftのデジタルリスク判定プラットフォームを活用すれば、組織の統合リスク管理能力を強化し、リスクをより効率的に特定・軽減できます。Siftは10年以上にわたるAIおよび機械学習の経験を活かし、40件以上の特許を取得しています。その自動化機能により、不正リスクの特定や軽減が迅速化され、手作業による確認にかかる時間を削減します。

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