2024.10.21AIを不正検知に活用する方法

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本記事は、Sift Science, Inc.のBlog記事「How to Use AI in Fraud Detection」を日本語に翻訳したものです。

本記事の著作権は、Sift Science, Inc.および同社の国内パートナーである株式会社スクデットに帰属します。

Sift Trust and Safety Team 著/ 2024年4月22日

AIを不正検知に活用する方法

オンラインショッピングは今や人々の日常生活に欠かせないものとなっています。世界銀行によると、世界中の成人の3分の2がデジタル決済を利用しており、企業にとってオンライン取引は大きな利益をもたらす一方で、不正行為のリスクは大きな脅威となっています。オンラインショッピングでは不正取引の大きなリスクをはらんでおり、2026年には世界のクレジットカード被害額が430億ドルに達すると予測されています。

この問題に先手を打つために、人工知能(AI)などの最先端技術を活用した、積極的な対策が必要です。AIにはさまざまな用途がありますが、その中でも不正検知における活用は、特に効果的です。ここでは、AIをどのように活用して、企業の利益と財務情報を保護するか見ていきしょう。

AI不正検知とは

AI不正検知とは、取引に関する情報を含む大規模なデータセットをアルゴリズムを用いて分析する人工知能のユースケースです。これらの不正検知アルゴリズムは、パターンを認識し、不正行為を示す不整合を特定するように設計されています。

AIはどのように不正検知を行うのか?

最も基本的なレベルでは、AIの不正検知アルゴリズムはデータセットを分析し、異常をフラグ付けします。しかし、AIアルゴリズムがトランザクションデータを処理するとき、実際には何が起こるのでしょうか?その主なポイントです。

1.パターン認識: AIアルゴリズムは、データ内の類似性や相関関係に基づいて、類似したデータポイントをグループ化します。この方法により、通常のアクティビティの基準を確立することができ、その基準に照らし合わせて、不審な動きを迅速に検知することが可能です。

2. 異常検出:一度基準が設定されると、AI は通常の行動パターンから大きく逸脱した取引やアクティビティにフラグを立てます。たとえば、ある人物が突然、異常に大規模な取引を行った場合、AIはその逸脱を検知し、さらに調査するためにアラートを発します。

3. リアルタイム監視:データセット内の異常を特定することと、実際に発生した不正をリアルタイムで防ぐことは別の課題です。AIは継続的にリアルタイムでデータストリームを分析し、不正の疑いのあるアクティビティが発生した瞬間にブロックします。このリアルタイム監視により、不正な取引によってビジネスに損失を与える前に防ぐことができます。 

4. 機械学習:機械学習モデルは、過去の不正行為の事例を分析することで、不正を示す特徴やパターンを特定できるよう訓練されます。これにより、将来の不正行為を予測するモデルを開発することができます。さらに、機械学習は反復的なプロセスであるため、AIシステムは継続的に不正検知アルゴリズムを改良し、不正犯の進化する手口に適応していくことができます。

AI不正検知を活用するメリット

AI、機械学習、そして不正検知を組み合わせることは、企業にさまざまな利点をもたらし、時間とコストの節約に繋がります。

・高い精度:AIアルゴリズムは、膨大なデータを非常に正確に分析する能力を備えています。人間のアナリストとは異なり、AIは疲労の影響を受けることがなく、1秒間に数千件のトランザクションを処理できます。その結果、信頼性が高く一貫性のある結果が得られるため、不正行為を正確に検知しながら、正当な取引がスムーズに実行されます。

・リアルタイム検知:トランザクションやアクティビティの発生した瞬間からAIはそれを監視し、疑わしいパターンを迅速に特定し、即座に対策を講じます。リアルタイム検知は、企業の潜在的な損失を防ぐことができるだけでなく、顧客の財産を保護することで顧客体験を向上させ、最終的には信頼とロイヤルティを高めることができます。

・適応性:不正犯は常に手口を進化させていますが、不正検知AIシステムはそれに追随するように設計されています。AIは自己学習機能を持ち、新しい不正パターンに適応できるよう進化します。新しい手口が出現するたびに、AIは新しいデータから継続的に学習し、アルゴリズムを調整することで、次々と現れる脅威に対しても効果を発揮します。

・カスタマイズと拡張性:AIソリューションは、企業の規模や予算に関係なく、それぞれのニーズに合わせてカスタマイズできます。さらに、特定の業界に関連する不正指標やリスク要因に焦点を当てたAIモデルを作成することもでき、ターゲットを絞った不正防止対策を提供します。

AIはどのような不正行為を検知できるのか?

不正手口は数多く存在しますが、以下に挙げるものは特にオンラインビジネスを悩ませる代表的な手口で、AIや機械学習、不正検知アルゴリズムによって検知可能なものです。

決済不正:盗まれたクレジットカード番号や銀行口座情報などを使用して、許可されていない、または不正な取引が行われることを指します。

チャージバック: カード所有者が取引に対して銀行(カード会社)に異議を申し立て、その結果、加盟店の口座から資金が取り消されることを指します。このタイプの不正は、2023年には企業に1,000億ドルもの損害を与えたと推定されています。

アカウント乗っ取り(ATO) :通常、盗まれた認証情報やフィッシングによって、ユーザーのアカウントへ不正アクセスする行為を指します。SiftのAI駆動型ソリューションは、このタイプの不正をブロックするのに非常に効果的で、2023年にはアカウント乗っ取りのブロック率が427%増加しました。

偽アカウントの作成:偽の、または盗まれた個人情報を使用してアカウントやプロフィールを作成する行為です。これらの偽アカウントは、なりすましやプロモーションの悪用などの不正行為を行うために使用されます。

コンテンツ不正やスパム: 受信者を騙して個人情報を開示させたり、不正な取引を行わせたりすることを目的とした、欺瞞的で未承諾のコンテンツを拡散する行為を指します。

返品不正:チャージバック不正と同様に、「フレンドリーフロード」の一種です。これは、盗難品や偽造品を返品して返金を受ける行為を指します。また、正当な商品を、改ざんされたり偽造されたレシートとともに返品し、返金を受けることもあります。

AI不正検知の業界別活用事例

どの業界も不正のリスクにさらされており、不正行為はますます高度化しています。しかし幸いなことに、AI、機械学習、不正検知はさまざまな業界で幅広く応用することができます。

デジタル商品

デジタル商品やサービスが普及するにつれ、この業界でも不正が増加しています。多くの企業が、特定の市場での不正の懸念から事業拡大を制限してきました。しかし、AIを活用したソリューションは、ユーザーアカウントを保護し、アカウントの乗っ取りを防ぎ、攻撃トレンドの可視化を提供します。AIを活用することで、企業はデータに基づいた不正防止戦略を策定し、自信を持って新しい市場に進出することができます。

eコマースと小売

eコマースと小売の分野は非常に広範で、アメリカ人の70%がオンラインで買い物をしています。この大規模な消費者層は日々不正のリスクにさらされており、拡張性のある不正対策ソリューションが必要です。AIは信頼できるユーザーを迅速に識別し、グローバルデータネットワークを活用して、新たな不正が企業に影響を与える前に阻止します。これにより、異議申し立ての割合を大幅に低減し、顧客アカウントを保護し、増加するファーストパーティー詐欺(当事者による不正利用)の脅威からも企業を保護することで、eコマースや小売業が規模に応じて安全に運営できるようになります。

iGaming(オンラインギャンブル)

iGaming市場は規制が頻繁に変化するダイナミックな市場です。AIは、iGaming企業が規制に準拠しながら、価値の高いプレイヤーを引き付け、維持するのに役立ちます。AIを活用することで、貴重なプレイヤーにスムーズな体験を提供し、プロモーションの悪用や偽のアカウントの作成を防ぎ、規制違反によるペナルティも回避でき、競争の激しい市場でiGaming企業の評判を守ることが可能です。

SiftのAI不正検知サービスを活用してビジネスを保護しましょう

Siftでは、透明性がソリューションの核心です。「AI不正検知がただ機能している」というだけでは不十分であり、私たちは、企業がそのプロセスを理解し、AIによってどのような意思決定が行われているのかを把握してもらいたいと考えています。一部のAIモデルは、データや意思決定プロセスを外部に公開しない「ブラックボックス」で運用されていますが、Siftは「Clearbox Decisioning」というアプローチを採用しています。このアプローチにより、AIモデルの意思決定に関わるルールやロジック、シグナル、インサイトを公開し、ユーザーがAIのアクションを解釈し理解できるようにしています。

AIやML(機械学習)が重要なビジネス成果に影響を与える場合、透明性は非常に重要です。「Clearbox Decisioning」は、当社のテクノロジーに信頼と責任を組み込み、ユーザーがプラットフォームに自信を持って使用できるようにします。これにより、データの正確性やリスクを自分自身で評価し、AIの意思決定が自社のビジネス目標に合致していることを確認することができます。

SiftのAIを活用した不正検知サービスによって、リアルタイムで不正を検知し防止する方法についてもっと知りましょう。Siftがどのように顧客体験を改善し、ニーズに合わせて拡張し、ビジネスの財務的な基盤を保護するかについてもご覧いただけます。

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