本記事は、Sift Science, Inc.のBlog記事「https://sift.com/blog/chargeback-vs-refund-how-do-you-prevent-chargebacks-and-refund-fraud」を日本語に翻訳したものです。
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Sift Trust and Safety Team 著/ 2024年7月30日
オンラインショッピングでは、指でタップするだけで簡単に買い物ができるようになりましたが、新たな課題も生じています。オンラインで注文された全商品のうち、17.6%が返品されています。これは、2,470億ドル相当の商品が返品され、処理されていることを意味します。この返品数の急増は、チャージバックや返金、不正に悩むec事業者にとって大きな負担です。2023年だけでも、チャージバックによる総損失額は1,000億ドルに達すると推定されています。
ビジネスの評判を守り、コストを削減し、金銭的損失を防ぐためには、チャージバックと返金の処理の主な違いを理解することが重要です。これらのプロセスについて詳しく学び、チャージバックと返金詐欺の双方から身を守る最善の方法を見つけていきましょう。
チャージバックとは?
チャージバックとは、不正、または詐欺的な取引から消費者を保護するための金融メカニズムであり、完了した取引を取り消すことができます。チャージバックは、顧客がクレジットカードやデビットカードの明細に記載された請求に異議を申し立て、発行銀行(カード会社)を通じて取引を取り消すことによって開始されます。
チャージバックが発生すると、代金は販売者の口座から差し引かれ、顧客に返金されます。販売者はチャージバックに対して異議を申し立てることができますが、オンラインの購入では取引が正当であったことを証明するための説得力のある証拠を提示することが難しい場合があります。
返金とは?
返金とは、顧客が代金の返金を要求したり、商品を返品したりした場合に、販売者が顧客の口座に購入金額を返金する取引です。
このプロセスは、顧客の問題を迅速に解決し、双方にとってトラブルが少ないケースが多いです。販売者は返金プロセスをよりコントロールできるため、顧客関係を効果的に管理し、ビジネス関係を維持できる可能性が高まります。
企業にとって、明確で効率的な返金ポリシーを提供することは、顧客満足度と顧客維持戦略の貴重なツールとして役立ちます。カスタマーサービスへの取り組みを示すとともに、ブランドに対する信頼を築くのに役立ちます。
チャージバックと返金の違いとは?
チャージバックは銀行(カード会社)が主導し、複数の関係者が関与するのに対し、返金は販売者が主導し、通常は顧客と販売者のみが関わるためよりシンプルで、多くの場合コスト効率が高くなります。
チャージバックと返金は、他にも多くの点で違いがあります。これらの違いを認識することで、販売者は顧客の異議申し立てに対処するためのより効果的な戦略を立てることができ、金銭的損失を減らし、貴重な顧客との関係を維持することができます。
それでは、これらの違いを検証し、顧客の異議申し立てを効果的に管理する方法を理解しましょう。
■ 開始
・チャージバック:顧客の銀行またはクレジットカード発行会社が、顧客の異議申し立てを受けて開始します。
・返金:顧客のリクエストに応じて販売者が直接処理します。
■ 関係者
・チャージバック:通常、顧客、販売者、カード発行銀行、アクワイアリング銀行*の4者が関与します。
・返金:通常、顧客と販売者の2者のみが関与します。
■ 必要なリソース
・チャージバック:広範囲な顧客サポート、長い処理時間、潜在的な異議申し立てに対する取り組みなど、膨大なリソースが必要です。
・返金:一般的に必要なリソースが少なく、迅速に処理できます。
■ 財務上の影響
・チャージバック:売上損失、処理手数料、管理コストが発生し、販売者のチャージバック率が悪化する可能性があります。
・返金:売上は失われますが、通常は追加手数料やペナルティは発生しません。
■ 顧客への影響
・チャージバック:顧客は購入金額を保持し、場合によっては商品も保持します(特に当事者による不正利用の場合)。
・返金:顧客は商品を返品し、購入代金を回収します。これにより、販売者はコストを削減し、在庫管理を維持できます。
■ 販売者と顧客の関係
・チャージバック:形式的で対立的になりがちで、顧客のロイヤルティに悪影響を与える可能性があります。
・返金:良好な関係を維持し、円満な解決へのコミットメントを示します。
■ 複雑さと時間
・チャージバック:複数の当事者や紛争解決手続きを含むため、複雑で時間がかかります。
・返金:迅速に処理できるため、スピーディーな問題解決と高い顧客満足度をもたらします。
チャージバックが不正に利用されるメカニズム
チャージバックは本来、顧客を予期せぬ請求から保護し、クレジットカードの使用を促進するための制度でしたが、不正犯はこのシステムを悪用して、正当な販売業者に損害を与えています。主なチャージバック不正には以下の2種類があります。
- 当事者による不正利用
このタイプの不正利用(フレンドリーフロードとも呼ばれる)では、顧客が商品の未受領や不正購入を主張することで、有効な請求に異議を唱えるものです。販売者の損失は年間500億ドルに上ると報告されており、Z世代のほぼ半数(42%)が、この「フレンドリーフロード」を行ったことがあるとされています。
- 第三者による不正利用
真の不正利用とも呼ばれるこの行為は、不正犯が盗まれたクレジットカード情報を使って購入を行うものです。この取引は後に正規のカード所有者に発覚し、チャージバックが申請されます。このような場合、販売者は顧客が取引を承認したかどうかを証明するのに苦労し、多くの場合、異議申し立てに負けてしまいます。
チャージバック率がわずか1%でも、販売者は経済的なペナルティや追加要件に直面し、最悪の場合、カード決済を処理する権利を失う可能性もあります。強力な不正防止とチャージバック管理戦略は、チャージバックによる損害から会社の利益を守り、評判を保つために不可欠です。
チャージバックを回避する方法
チャージバックを完全に排除するのは不可能かもしれませんが、効果的な戦略を実施することで、その発生を大幅に減らし、金銭的損失を軽減することができます。不満を持った顧客に対して、チャージバックを申請するのではなく返金を求めるように促すことで、金銭的損失を減らし、顧客との良好な関係を維持することができます。
以下の対策を実行すれば、チャージバックを回避し、金銭的損失を軽減できます。
- 積極的なカスタマーサービス
顧客の懸念に迅速に対応し、問題が悪化する前に解決しましょう。適切な場合には返金に応じる姿勢を示し、顧客満足度に対するコミットメントを示します。
- 明確なポリシー
明確でわかりやすい返品および返金ポリシーを策定し、顧客に周知します。この透明性は適切な期待値を設定し、誤解や潜在的な悪用を最小限に抑えます。
- 効率的な返金処理
シンプルで迅速かつ顧客に優しい返金プロセスを開発しましょう。このアプローチは信頼を築き、顧客が異議申し立てを銀行(カード会社)ではなく直接あなたに持ち込むことを促します。
- 顧客フィードバックの監視
顧客からのフィードバックを定期的に確認し、製品やサービス、プロセスを改善しましょう。この積極的なアプローチにより、ポジティブな顧客体験を提供し、チャージバックの可能性を減らすことができます。
- テクノロジーの活用
評判の良い不正対策ソリューションと提携して、不正なチャージバックを最小限に抑えましょう。行動分析や多要素認証(MFA)などの高度なテクノロジーを活用して、セキュリティを強化し、不審なアクティビティを検出します。
- チームのトレーニング
カスタマーサービスチームのための包括的なトレーニングに投資しましょう。彼らが返金のリクエストや顧客による異議申し立てに効果的に対応し、ミスを減らし、問題の悪化を防ぐための知識とスキルを身につけさせましょう。
決済の不正利用や高額なチャージバックに対して包括的に保護する方法について詳しく学びましょう。
チャージバックを積極的に防ぐべき8つの理由
チャージバックを最小限に抑え、返金をより利用しやすくすることで、収益を保護するだけでなく、顧客中心のアプローチを育むことができます。次に、返金とチャージバック防止をビジネス戦略の最前線に置くべき8つの理由を探ります。
- 問題解決を簡素化
返金はチャージバックに比べて関係者が少なく、手続きも簡潔なためため、問題解決がスムーズになります。
- コスト削減
チャージバックには多額の手数料やペナルティが発生しますが、返金は一般的に販売者にとってよりコスト効率が高くなります。
- 顧客との関係維持
顧客に第三者に頼る代わりに、返金を申し出ることで問題を直接解決する意欲を示すことができ、顧客との良好な関係を維持することができます。
- 評判を守る
迅速かつ効率的に返金を処理することで、優れたカスタマーサービスを提供するという企業の評判が高まります。
- 経済的損失の防止
チャージバックは多くの場合、売上と商品の双方が失われますが、返金は商品を回収できる場合があります。
- チャージバック率の低下
積極的に返金に対応することでチャージバック率を低く保ち、販売店アカウントのステータスを保護します。
- 迅速な解決
返金はチャージバックよりも早く問題解決することが多く、チームのストレスや業務負荷を軽減します。
- 法的リスクの回避
チャージバックは法的な問題に発展する可能性があります。
ChowNowは、Siftとの提携によりチャージバック率を99%も削減しました。この提携により、オンライン注文プラットフォームであるChowNowは不正管理業務を週15時間にまで削減し、100万ドルの節約を達成しました。
返金不正を理解する
一般的に、返金はチャージバックよりも優れた対応策ですが、企業は返金不正に対しても警戒する必要があります。このタイプの不正行為は、顧客が正当な購入を行い、商品やサービスを受け取った後、不正に返金を要求する行為です。
代表的な返金不正は次のものがあります。
- 未着クレーム:配達証明があるにもかかわらず、顧客が商品を受け取っていないと虚偽の主張をするケースです。
- 不良品クレーム:顧客が、正常に機能する商品に問題があると虚偽の報告をするケースです。
- 不正取引のクレーム:顧客が購入を否定し、不正アクセスや家族など、権限のない第三者が購入したと偽って主張するケースです。
返金不正は、外部の第三者ではなく顧客によって行われる「フレンドリーフロード」の一種です。これらは表面上は合法的に見えることが多いため、販売者にとって特に厄介な問題となり得ます。
返金詐欺に対処する上で難しいのは、顧客の正当な問題と不正な申し立てを区別することにあります。しかし、返金不正に対抗する対策を講じなければ、在庫や収益に大きな損失をもたらす可能性があります。
返金不正を阻止する方法
すべての業界が返金不正の影響を受ける可能性があります。ビジネスを守るために、顧客満足度を維持しながら、不正な返金請求に対する安全策の導入の間でバランスを取る必要があります。これには、取引の詳細な記録、ポリシーの明確な伝達、高度な不正検知テクノロジーの使用が含まれます。
次に挙げるのは、有効な対策として挙げられる重要なステップです。
- 正確な記録の維持
詳細で最新の取引記録を保管しましょう。定期的に返金と売上を照合し、エラーによる返金を防ぎ、疑わしいパターンを特定します。
- 本人確認の実施
返金を要求する顧客に対して、厳格な本人確認プロセスを検討しましょう。これにより、顧客体験を損なうことなく返金の正当性を確認できます。
- セキュリティとユーザーエクスペリエンスのバランス
セキュリティ対策を実施する際には、不正防止と顧客の利便性のバランスを取りましょう。返金プロセスに過度のフリクションが発生すると、正当な顧客を遠ざけ、企業の評判に悪影響を与える可能性があります。
- 先進テクノロジーの活用
Siftが提供するようなAIを活用した不正検知ツールを利用しましょう。これらの高度なシステムは、取引パターン、顧客の行動、その他の関連データを分析して、スムーズなユーザー エクスペリエンスを維持しながら、返金不正の可能性を特定できます。
これらの対策を実施することで、返金不正のリスクを大幅に減らし、誠実な顧客を阻害することなくビジネスを保護する安全な環境を構築できます。
Siftが最高のチャージバック及び返金不正管理ソリューションを提供する理由
チャージバックと返金に関する継続的な議論では、どちらのオプションでも取引後に顧客が代金を回収する手段を提供していますが、チャージバックは多くの悪影響をもたらすことがよくあります。これには、顧客体験の低下、解決までの時間の長期化、そして販売者にとっての多額な手数料などが含まれます。これらの問題を解決するために、多くの組織が、Siftのチャージバック不正対策ソリューションのような先進的なテクノロジー ソリューションに目を向けています。
Siftの包括的なチャージバックおよび返金不正管理ソリューションには、次の主要な利点があります。
- 申し立て解決の合理化
Sift はチャージバック管理プロセスを簡素化し、異議申し立てをより効率的に処理できる直感的で統合されたプラットフォームを提供します。
- インテリジェントな優先順位付け
Sift は自動化を活用し、チャージバックの価値に応じた優先順位付けを提案することで、影響の大きいケースに迅速に対応できるようにします。
- 収益の保護
インテリジェントなワークスペースと専門家のガイダンスを活用し、効果的な対応を行い、健全な成功率を維持します。チャージバックを防ぐための調査と、紛争率を低く保つアラートにより、さらに強力な保護を構築します。
これらの革新的な機能を採用することで、チャージバックに関連する悪影響を大幅に軽減させ、顧客満足度を向上させ、収益を保護することができます。
最新の決済不正や軽減戦略に関する最新動向に関心のある方は、Siftの2024年第1四半期のDigital Trust & Safety インデックスレポートで、現在のトレンドとベストプラクティスに関する貴重なインサイトを提供しています。
*アクワイアリング銀行:企業が利用する銀行で、事業者の代理者を務める組織。カード発行会社から売上金を取得して事業者の口座に入金し、取引処理が完了されるようにします